広島古民家再生物語

其の六　八尋の家

八尋の民家再生の始まりだ。 実はこの母屋を再生する前に 離れの増築工事が行われた。
八尋の家 母屋は築９０年。おそらくこの離れも 同じくらいの年数であろうか？ まずこの離れの建て直しから始まる。 母屋とつり合いの取れた離れに しなくてはいけない。
八尋の家 離れの解体が終わる。 一体母屋の古民家に合う 離れとはどんな建物になるので あろうか？
八尋の家 柱や梁がレッカーに吊られ宙に舞う 一本一本丁寧に組まれ建て方が始まり 屋根仕舞いが完了した まだ解らない・・・
八尋の家 離れの形が大体見えて来た。 外壁が仕上げられている 。左官さんが鏝波一つ無く 白壁に仕上げて行った。
八尋の家 内部が完成した。離れは母屋より低い 建ちにしたため天井を張らず高さを感じさせ 構造材の梁を見せ床や壁そして屋根に 天然の杉板が使われている。
八尋の家 離れが完成した！ なんとこれは蔵風の離れ？！ 腰壁には焼き杉が張られ 腰上は白壁が塗られ 母屋の古民家を再生するのに つり合いの取れた離れの完成である。
八尋の家 離れも完成し・・・さて、本題の 母屋の再生工事に取り掛かります。 この母屋がどのように再生されるか？ みなさんお楽しみに！
八尋の家 母屋は築約８０年。床面積は 約５５坪、屋根は鯉が泳ぐ箱棟 壁にはなまこ壁があり全てこれらは 再生されて甦る予定だ。
八尋の家 解体工事が始まった （内部より玄関を見る） 床下の大引きや根太は古い木で 再生材を昔は当然のごとく使っていた。 床下に大きくくぼんだ穴が現れた 古い家で良く目にする芋壷が現れた。
八尋の家 解体工事が終わると表から裏まで 見通せるようになった。 壁や床が無くなった為仮に筋交いを入れ 建物を補強をして置くことにする。
八尋の家 解体後の八尋の家に入りった 何気なく見上げ驚いた！ 現代の住宅では見ることの出来ない 真っ黒く曲がりくねった大きな梁 先人達の技と拘りが伝わって来た。
八尋の家 柱は丸い大きな自然石の 上にドッシリと建っていた 柱を鉄骨で全て固定し２０トン ジャッキで家を持ち上げ新しい 基礎を作る。 家はメキッメキッと音をたて上がった。 八尋の家の喜びの叫びに聞こえた。
八尋の家 持ち上げられた家の下に 鉄筋を組みコンクリートが 流された。 みんな無言でコンクリートを均す 何かを祈るように・・・ この基礎にはこの人たちの思いが こもっているはずだ。
八尋の家 基礎工事が終り持ち上げられていた 家も降ろされた。 柱と基礎は金物でしっかりと 結合された。 気のせいか？八尋の家の笑顔が 今初めて見えた。
八尋の家 八尋の家に入り目に付いたもの・・・ それは柱の根継ぎだ！悪い柱は全て 棄てるではなく悪いところを取り除き 新材を接ぐ、古民家を大切にし 残したいと思う隠された職人技見えた。
八尋の家 瓦の葺き替えが始まろうとしていた。 これは今では見ることの出来ない箱棟だ 今回は荒い波の中で大きな鯉達が泳ぐ 箱棟を再利用する。 これはこの八尋の家のご主人の拘り そして先人達が造った物を後の世に 伝えたいと思うご主人の希望であった。
八尋の家 箱棟は職人の手により丁寧に降ろされ 古い瓦とその下に敷き詰められていた。 土は８０年と言う長い年月の役目を 終えたかのように速やかに降ろされて行く。
八尋の家 屋根の土を支えていた竹も全て剥された。 この竹はこの家より前に建っていた天井裏の 煤竹（ススタケ）を再生して使っていた。 屋根の骨組みも現れ悪いところは修復され 新しい瓦が葺かれるのを待つ。
八尋の家 空を舞い地面へと降ろされた箱棟に 何やらしています・・・ それは高圧で洗浄され、これから葺く石州の いぶし色に合せ箱棟もいぶし色に吹かれて います。 いよいよ新しい石州瓦と古い箱棟が合体 するのです。
八尋の家 新しい瓦が全て葺かれた、家紋の入った 鬼瓦と箱棟が再利用された。 荒い波の中で泳ぐ鯉達が甦って行くのが 解る。
八尋の家 屋根瓦を葺き終わる頃内部の 造作も始っていた 。サッシが付けられ左官も土壁を 塗り軒裏の漆喰から仕上げて行く。
八尋の家 そしてなまこ壁・・・ 古い平瓦を再利用しその上になまこ壁を 付ける。　根気の要る仕事で鏝先一つで 決まり左官の腕の見せ所とも言える。
八尋の家 中に入ると大工さんの仕事も進み 屋根裏には杉板が張られ間仕切りの 柱が立てられた。 曲がった古材の梁に新材の柱は、まったく 不自然さを感じさせない。
八尋の家 不自然さを感じさせないものがもう一つある。 今回は古民家に鉄の螺旋階段を取り入れ た決められたスペースの中で螺旋階段となっ たがこれがどのように古民家に溶け込むか 期待してもらおう。
八尋の家 そしてヌキ板が入り小舞が組まれ 間仕切りの壁が出来た これで土壁が塗られるのか？
八尋の家 土壁を塗る前に塗装屋さんが入る。 新しい杉板に柿渋を塗り古色を出し 古材の梁には菜種油を塗り古色を取り戻す。 科学塗料を塗る必要もなく自然の材料で 古色は十分に甦る。
八尋の家 いよいよ土壁が付けられる。 家の外で忙しく土を捏ねる。 そして素早く小舞に土が付けられる。
八尋の家 土壁が付けられ梁には菜種油 そして古い柱も新しいの柱にも ベンガラが塗られた。 古き良き時代を醸し出している。
八尋の家 内部仕上がりも真近。 久振りに外に出る玄関先で大工さんが何やら・・・ 昔あった玄関の厚鴨居を使い 壁には杉板の鎧張りを造っていた。
八尋の家 外壁の漆喰はほとんど仕上がり ２階のなまこ壁も昔のままに甦り 木部にはベンガラが塗られる。
八尋の家 内部の仕上げが塗られる。 今回は藁（ワラ）の入った珪藻を塗る。 職人はまるで鏝に取り付かれたかの ように無言で壁を塗る。
八尋の家 玄関の鎧張りの杉板にも 柿渋が塗られ建物全体に 新しい樋が掛けられた。
八尋の家 突然ですが！ これはこの家のご夫婦にプレゼントした物。 これがご夫婦の手によってどのようになるの でしょうか？お楽しみに！
八尋の家 内部には建具が入り　床下が換気出来る ように杉板が張られ　縁框にベンガラが 塗られ建物は完成した。
八尋の家 玄関の戸を開け中に一歩踏み 込むと別世界のような古民家が 始まった。 杉で作られた下駄箱、地松の 框に式台、壁には抜き板を見せ 飾り棚にはベンガラを混ぜた珪藻土 が塗られている。
八尋の家 ＬＤＫの上は吹き抜けに・・・ 柱梁は全て昔のままだ。 先人達が造りあげた芸術とも 言える骨組みは着色することなく 菜種油を塗り昔の色が甦る。
八尋の家 この家のご主人が持っておられた ボロボロの蔵の戸を分解再生し 着色を加え居間の壁に取り付け 間接照明で浮き上る蔵の戸 格子の向うに奥行きを感じさせた。
八尋の家 縁側に面した和室の建具は 再利用、ガラスを通して差し 込む明かりが畳に・・・ 畳に映る明かりを見つめていると この家の昔の生活が見えた気がした。
八尋の家 吹き抜けを通り2階に上がる 昔ここは物置だった！今は寝室だ 床には杉のフローリング壁は杉の 腰板と珪藻土、天井はもちろん 黒くなった大きな梁・・・ この部屋で見る夢は？
八尋の家
1階のＬＤＫに降りると・・・ 工事前の螺旋階段が あった　階段には柿渋の塗られた 段板付けられ　真っ黒く大きな 古材と新しいキッチンそして新しい 鉄がうまく溶け込み新しいイメージ の古民家に生まれ変わった。
八尋の家 何と言うことでしょ～杉の根の丸太が ご夫婦の手によって玄関の踏み台に 姿を変えたではありませんか～ 何度も磨き柿渋を塗り丸太の穴には 小石が埋められ良い味出てますね～ この小石？奥さん曰く・・・ 足ツボマッサージとか？皆さんも如何？
八尋の家 90年という歴史を経て今またここに甦った。これから古民家再生「八尋の家」としてたくさんの歴史を残して行ってほしいものだ。
八尋の家

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