寺尾の家



《TO-001》 築約130年の寺尾の家 こちらの主人は古民家の好きな人である。
再生の話に伺い外見から見れば普通の古い民家であったが玄関の戸を開けるなりビックリした。

《TO-002》 玄関はすでに古い梁を現した応接間が作られていた。
何年前に作られたかは解らないがこの部屋はあまり触る必要もなさそうだ。

《TO-003》 応接室以外は天井が低く、段差の多い部屋がたくさんある。
完全には段差をなくすのは無理だが生活しやすい部屋を作ることにした。

《TO-004》 計画も決まりいよいよ再生も始まり解体工事が始まった。
解体は勿論機械を使わず手作業で丁寧に壊される。

《TO-005》 低い天井に段差のある床、部屋を狭く仕切っていた壁が全て無くなり解体工事が終わった。

《TO-006》 そして基礎工事が始まる。
床下が低く風の通りも悪く湿気ていた床下の土を取り除き風通しを良くする。

《TO-007》 湿気が上がらないように防湿シートを敷き鉄筋を格子状に組み終えた。
生コン車が到着した。ポンプ車を使いコンクリートを家の中に流しそれを均す。

《TO-008》 基礎と土間のコンクリートを打ち終えた。コンクリートが乾くと次は木工事が始まる。

《TO-009》 新しく作られた基礎に土台が据えられ、次々と桧の柱を建て屋根が出来て行く。

《TO-010》 増築が終わり屋根が出来る。
今までの屋根の形を損なうことなく長年の職人の技により屋根が葺かれる。

《TO-011》 左官が入り小舞を組む。
この日本の伝統的な小舞職人も少なくなり現在の職人は殆んど組むことが出来ず見ることも無くなった。

《TO-012》 小舞を組み終えると、新建材の壁断熱に頼らず日本古来から四季のある家に合った土壁を塗る。

《TO-013》 この紙袋いったい何かと思えば、この家の主人が準備した物。
中身は、主人の知り合いが焼いた炭だった。
床下の低いこの家、湿気対策として一面に敷き詰めた。

《TO-014》 その上に床を張る。
床板は杉のフローリングで合板のフローリングに比べ体に良いのは勿論、冬は暖かく夏になると冷たく感じる一年を通してとても過ごしやすい床板である。

《TO-015》 再生は進み、杉板の天井を張り終えた。
少し明りの取れ難い部屋には天窓が作られた。

《TO-016》 左官が中塗り土を塗る。この作業で仕上げが決まるため慎重にコテを動かす。

《TO-017》 対面キッチンが作られた。地松のカウンター、その下には杉板で張りまわされた地袋が作られている。
新建材の合板を使わず無垢材を使うことによって古民家と対面キッチンの調和がとれる。

《TO-018》 壁の仕上げを塗る前に木部に自然素材の古色を刷毛で塗る。

《TO-019》 中塗りも乾き、見ていると左官は鏝を自分の体の一部のように動かし仕上の珪藻土を塗る。

《TO-020》 床に柿渋を塗って行く、日が経つにつれ酸化した床は何とも言えない古色を出し始める。

《TO-021》 建具がはめられ再生が完了する。建具は杉の無垢材作る。
当然建具にも柿渋を塗り古色を出す。

《TO-022》 再生後のキッチンを見る。
地松のカウンターに壁は珪藻土、床は杉のフローリングに柿渋を塗って仕上る。

《TO-023》 玄関の戸を開けると玄関ホールと応接間兼用の部屋が目に入る。
大きな柱に大きな厚鴨居、見上げると黒く光る梁が交差する。
当然来る人を圧倒させるホールが完成した。

《TO-024》 寺尾の家が再生された。

再生後寺尾のご主人からハガキが届いたので少し紹介します。

「この家を建てましたのは私の曾祖父40才の時でした。
一人の男の子3才、遅い跡取り息子でした。(他に娘3人)
いろいろの思いを込めて建てたんだろうな〜・・・。
粛然とした気分になりました。
大変お世話になりました。
[家がいばり過ぎている]と親しい人に注意を受けましたが・・・
そう言われてみると、もっと百姓屋らしくてもと、ちょっと反省しています。
百姓、町人、サラリーマン、その住に区別がつかなくなっています。」

おわり