| 野串の家 |
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私の名前は、ラッキー、実はここに登場するのは2回目です。 それは数年前に八幡の家を再生した時良く留守番をする猫としてでした。 八幡の家は農機具小屋と牛小屋を住居に再生しまた。 今回私が野串の家をご案内いたします。 |
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あの時、母屋は後工事とコメントしてありました、それが今回の再生です。 母屋は昭和初期の大きな建物で何年か空き家になっていました。 その時私が母屋の中で美味しい魚をご褒美として留守番をしてたのです。 |
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それでは再生に取り掛かる前に家の中を案内します。 ここは1階の縁側と和室です、田の字型に大きな部屋がたくさんあります。 私はこの縁側で留守番をしていました。 |
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縁側から見ると左の部屋が応接間でその奥は、私がご褒美の魚をもらっていた台所です。 どちらも昔は玄関を入ると家の奥まで土間のタタキでしたが、古い壁と柱を新建材で全て隠すのがブームの時期がありました。ここがどのようになるのか覚えていて下さいね。 |
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2階へどうぞ、大きな梁を勿体無いくらいたくさん使われていますが、ここは部屋として使用された形跡もなく物置状態で、猫の私を恐れようともせず毎日ネズミの運動場になっていました。 しかし、1階にもたくさんの部屋が作れそうなのにこの2階まで部屋にするのでしょうか? |
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片付けが終わり再生工事が着工しました。解体が始まり古材を隠していた新建材もあっと言う間に剥がされ骨組みが表れて来ました。 私が留守番をしていた時、この家がまさかこのようなことになるとは思いもしなかったことです。 |
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解体が終わったようなので、こっそり中に入って見ると2階の屋根裏まで見えています。 今まで隠れていたので解りませんでしたが、見渡して見ると壁も梁も全て真っ黒です。 これも先人達が長年知恵を使い、火と煙で生活をしていた証しなのですね。 |
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何やら外では大きな音がし始めました。 私は陰から恐る恐る覗いて見ました。 |
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何と大きなクレーン車が道路に止まり、ワイヤーで束ねた鉄を庭に先に運び入れているではありませんか? あれはいったい何をするものなのでしょうか? そしてこれから何が始まるのでしょうか? |
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そして大勢の人で長い鉄を家の中に運び込み、柱を太いボルトでがんじがらめに縛り始めました。 何てひどいことをする人達でしょう!私は野串の家が可愛そうで見ていられず近所のお祖母さんの家にエサを貰いに行くことにしました。 |
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数日が経ち戻ってみると、ニャンと言う事でしょう〜野串の家が空中に浮かんでいるではありませんか?! 猫の力では助けることも出来ず、ニャンニャン誰かを呼んでも来るのは近所のノラ猫ばかりで助けになりません。 仕方なく私は、野串の家を見守ることにしました。 |
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見守っていると野串の家の下に数人潜り込み、小さな石が敷き詰められ透明なビニールを張りその上に鉄の棒を餅網のように組んでしまいました。 これはいったい何のお呪いなのでしょうか?人間様のする事は解りません。 |
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明朝早く私が散歩から帰ると、また奇妙なものが現れていました。 この前より、一層首の長い物体とコンクリートを積んで走っている車でした。 良く見ると首の長い物体はコンクリートを吸い込んでいるではありませんか。 もしかして野串の家の中に吹き出しているのでしょうか。 |
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私は心配になり思わず走り出しました。そして野串の家に入り梁の上から監視をしたのでした。 |
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良く見ているとコンクリートは先日餅網状に組まれた鉄筋棒の上にゆっくりと出され、それをたくさんの人間達が丁寧に均していました。 |
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何日かが過ぎ、コンクリートは白く固まっていました。 これはもしかして野串の家の大事な基礎だったのでしょうか? 私は大事なことを忘れていました。 猫の習性でコンクリートが固まらないうちにこっそりと足跡をつけながらあることを・・・ 何で私達猫は、軟らかいコンクリートの上が好きなんでしょうね〜 |
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野串の家は基礎の上に降ろされ、柱を縛り付けていた長い鉄も次々と運び出され、トラックに積み込み帰って行きました。 私はあの人達のことを「柱をがんじがらめに縛ってひどい人達」と言っていましたが、実は家を持ち上げるプロだったのですね〜。 |
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家が降りるのを待ちかまえてたように大工さんの登場です。 すると、ジャッキのようなもので梁を支え2階が乗っかっている柱を切ってしまったのです。 ここに来る職人さんはみんなひどいことをする人間達です。 大事な柱を切ってしまってどうするのですか?まさか!?失敗? |
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失敗かと思いよく見ていると、長さ4メートル巾20センチ高さは30センチ以上もある大きくて重い曲がった地松の梁を運び込み、切り取った柱の下に補強の梁として入れてしまったのです。 |
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そして入口の狭い玄関だったところも柱を取り除き大きな補強の梁が入れられた。 しかもこの数ヶ所の補強の梁はレッカー車も使えないため「猫の手も借りたいくらいだ」いと言いながら び込みから持ち上げて取付まで全て数人の人間達で入れるのを見てしまいました。 |
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梁を入れるのが終わると、また大工さんが柱を切っています。 今度は何でもない高さです。これは私でも解りました。 それは留守番をしている時、白蟻が柱を食べているのを知っていたからです 大工さんは綺麗なところまで切り取り、ニャンと凄い細工をして元通りの柱にしてしまいました。 |
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「今じゃ〜曲がった梁を入れたり、柱を接ぐ細工の出来る本当の大工さんも少くの〜なった」と、ニ軒隣のお婆さんが見に来て私に話してくれました。 またまた私は大工さんにも「ひどいことをする人間達だとか、失敗した」とか言ってしまった、ごめんなさい。今度手がたりない時、この猫の手も貸してあげますから・・・ |
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左官と言う職人さんが竹を割った束を運び込み、その竹を縄でタテヨコ格子状縛り始めた。 二軒隣のお婆さんによると、その縄は棕櫚縄(シュロナワ)と呼ばれ、縛っている竹を小舞竹と言うらしいです。 やっぱり長く生きてるお婆さんは物知りですね〜 |
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左官さんは竹を縛り終えると、ポンプのようなもので土を送り込み、左手に持った板に土を乗せ竹の上に土を塗り始めたではありませんか。 良くもま〜竹の上に土が平らに付けられるものです。 でもこれで一気に家らしくなりました。 |
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補強が終わった大工さんは天井を張り始めたようです。 |
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苦労して天井を張り終えると、大工さんは数箇所に別れ仕事をし始めました。 一人の大工さんは、長くて厚く丸い大きな模様がたくさんあり、とても暖かそうな板を張り・・・ |
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もう一人の大工さんは、玄関で厚い板を組み合わせて台のようなものを作っています。 |
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大工さんに怒られ外に出ようとしましたが、私はいじけてしまい床下にあった左官さんの養生にコッソリ包まって寝てしまいました。 |
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スヤスヤ寝ていると、今度は左官さんに「おいおい毛布を使うよ」と言われ起こされてしまいました。 |
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おやっ!?気になるものを見つけました。 |
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眠りの続きをしていると何やら屋根の上で大きな音がしました。 |
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何とそれは、屋根の上に大砲のようなものを取り付けているではありませんか!? |
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裏山から降りると数人の人間達が玄関に白くて大きな石のかたまりを持ち込みました。いったいなぜ?・・・部屋の中に突如作られた壁と床、屋根に大砲の筒、玄関には石のかたまり、この三つは完成するまで私には解りません。 |
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お婆さんは老人会で温泉に出かけて留守でした。 |
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濃くなった柱を眺めていると、基礎を作った人間がまた現れ、今度は昔からこの家にあった長くて重い石を動かし始め、高さを調節しているようです。 |
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人は変わり、調整された石の中に黒い四角な板のような物を張り始めました。人間達の話を聞くと、「ここのタイル張りが終わったら中も頼むよ」と言っていました。中?いったい家の中のどこにタイルを張るのでしょうか? |
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玄関のタイルを張り終わったかと思うと、やはり家の中でもタイルを張っていました。 |
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何であんなところにタイルを張る必要があるのでしょうか?解らないことが多すぎて頭はこんな感じです。 |
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おっとまたまた寝込んでいました。 |
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壁の仕上げが終わると、建具が嵌められた。建具と言っても合板の既製品でなく、建具職人が一枚一枚その場所に合せて作っているらしい。その建具に柿渋を塗り始めた。 |
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そしてタイルを張った壁の前に何やら黒い物を組立始めたが、まだ私には解りません。完成まで後少し、もう少し楽しみに待つことにしました。 |
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全ての職人さんが片付けをして帰って行きました。おやっ?もう一人残って居る職人さんがいました。養生が剥がされた床材に柿渋を塗っています。この職人さんに言われました・・・「おいおい猫ちゃん、これで完成だから床の上には上がれないよ!」 |
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再生は完了したみたいです。「上がれないよ」と言われたら上がりたくなるものです。 |
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足を綺麗にしてホールに上がって見上げると・・・ |
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♪何と言うことでしょう?♪2階の床は無くなり大屋根まで吹き抜けになっているではありませんか! |
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おやっ?この部屋は?柱を取り除き大きな松の梁で補強していた部屋です。補強の梁には柿渋が塗られ、以前は薄暗くてジメジメとした部屋でしたが、天井は高くなり屋根に天窓が取り付けられ、明るくて広い部屋へと変身しています。 |
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どうやらここはリビングらしい、正面には無垢材で作られたカウンターが見え、カウンターの向う側にはとても素敵なシステムキッチンがあった。なぜ猫の私が無垢材を知っているのか?それは再生中に大工さん達の話を猫耳したからである。そう言えばタイルを張った壁と床があったのはこの部屋だったことを思い出した。 |
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私は恐る恐る振り向くと、そこには黒くて大きなものが置かれ、丸い筒が上に伸びていた。解りました!・・・いつか猫耳にしたことがありました。これは人間達の使う薪ストーブだったのです。そして屋根の上の大砲と言っていたのは煙突だったんです。これで私が悩んでいた3つの疑問は全て解決したので外にでることにします。 |
| 《NK-049》 | 皆さん覚えていますか?これが再生前の野串の家でした。 |
| 《NK-050》 | しかし、あの家がこんなに綺麗に完成するとは思いませんでした。 |
| 《NK-051》 | 長くに亘り野串の家をご覧頂きありがとうございました。
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